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すべからくは、すべからく「須く」と書くべし

に紹介した『一冊の手帳で夢は必ずかなう』を読んでいて少し気になった点について少々。但し、内容についてではない(笑)。

一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法 Book 一冊の手帳で夢は必ずかなう - なりたい自分になるシンプルな方法

著者:熊谷正寿
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同書を読んでいると、次のような記載が。

都内近郊の移動にはすべからく、車を使うのも「時間をつくる」ためです。

もしや、この著者。。。いやいや、まだ決めつけるのは早い。
という訳で、読み進めていくと、今度は次のような記載が。

社長たる者の意志決定はすべからく、彼らの「笑顔」と「感動」を得られるかどうかになければなりません。

これは若干微妙だが、なんか疑わしい。

なんのことを言っているかというと、「すべからく」の意味についてである。文脈から考えて、この著者は、「すべからく」を「全て」と同じような意味で使っているようにみえる。

しかし、「すべからく」に、「全て」という意味はない。

辞書を調べればわかるが、「すべからく」は、

なすべきこととして。当然。

という意味で、多くの場合、「べし」で受けることになる。例えば、

学生はすべからく勉強すべし

といった感じである。そして、この文は、学生は、なすべきこととして(当然)、勉強をすべきである、くらいの意味合いになる。

この例文だけを見ると、「すべからく」を「全て」という意味に解釈しても意味は通じるし、「すべ」が共通しているので、そのように覚えてしまうのも無理からぬ所はあるかもしれない。

なんて偉そうに言っているが、自分も、呉智英著『封建主義者かく語りき』を読むまで(10年位前に、偶々読んだ)、「すべからく」の意味なんて知らなかった。でも、意味を知らなかったから、使ったこともなかった。

封建主義者かく語りき (双葉文庫) Book 封建主義者かく語りき (双葉文庫)

著者:呉 智英
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呉氏は同書で、このような誤用は、二重の意味で民主主義に由来すると分析し、その一面(民主主義的社会条件)として、漢字制限を挙げている。民主主義に由来するかはさておき(笑)、確かに、上記例文でも、漢字で

学生は須く勉強すべし

と書かれていれば、少なくとも、「須く」が「全て」と同じような意味を有すると誤解することはないだろう。

まぁいずれにしても、このような気取った表現を使いたいのなら、辞書を引く手間は省くべきではないということだろうか。

なお、呉氏は同書で、「すべからく」の誤用者として、何人かの例を挙げ、例示した誤用者について次のように述べている。

こういった誤用者たちは、サヨク・ウヨク、マイナー・メジャーを問わず、叡智の道を歩むことなく、そのくせ、裏口からでも叡智の王国に入りたいという姑息な欲望や上昇志向だけは人一倍強いのである。

確かに、熊谷氏も、上記著書を読む限り、少なくとも、上昇志向が人一倍強いという点は当てはまりそうである。

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