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TOEICタイムマネージメント考

TOEICのリーディングセクションでは、タイムマネージメントが大切だと言われ、最近では、老いも若きも、男も女も皆、いろいろな策を巡らして、時間内に最後まで解ききることに一生懸命のようだ。

でも、皆が皆、最後まで解ききることに、そんなにこだわる必要あるのであろうか。もちろん、満点を目指すのであれば、最後まで解ききることは必要だし、満点まで行かなくても、例えば、900点以上(リーディングで450点以上)を目指すのであれば、最後まで解ききることは必要であろう。しかしながら、まだそこまでのレベルに達していないのであれば、最後まで解ききること、そんなにこだわる必要はないのではなかろうか。

なお、なんらかの理由で、次に受けるTOEICで、できるだけ高いスコアを取ること(だけ)が必要というのであれば、タイムマネージメントも必須になるのかもしれないが、ここでは、モチベーション維持や、英語力のチェックのために、TOEICを定期的に受ける場合を想定している。

先日の記事で述べたように、この間やった『新TOEICテスト 直前の技術』の模試では、時間内に最後まで解ききることはできず、10問を残す結果となったが、それでも、素点が87点で、「直前の技術」のスコア換算では、スコアは485ということになった。まぁ、13問間違えで、スコア485なんてことは、現実のTOEICではありえないことであろうが(笑)。では、公式問題集だと、素点87点で、何点くらいとれるのであろうか。

『TOEICテスト新公式問題集』Vol1~3のスコア換算表によれば、素点87点(正確には、素点レンジ 86-90)のスコアレンジは次のようになる。

  • Vol.1 練習テスト(1) 410-450
  • Vol.1 練習テスト(2) 415-470
  • Vol.2 練習テスト(1) 395-440
  • Vol.2 練習テスト(2) 380-430
  • Vol.2 練習テスト(1) 375-425
  • Vol.2 練習テスト(1) 420-465

スコアレンジの下限の平均を取ると、399となる。つまり、公式問題集で、素点87点をとれれば、少なくとも400点くらいは平均でとれるということになる。

では、実際のTOEICではどうであろうか。TEX加藤さんのブログの記事(9月TOEIC正答数換算表)及び同ブログの読者からのコメント報告を参考に分析してみると、この間の9月のTOEIC(4GIC19)の場合、リーディングスコアが415のひとで、14~17問(3問の幅は、複数項目にまたがる問題の存在による誤差)、あるいは、15~18問くらい間違えているようである。この回のTOEICのリーディングは難しかったという噂であるが、そういうこともあってか、リーディングスコアが430(リスニングが同スコアとれていれば、Aランク)の人でも、12~15問くらい間違えているようだ。

すなわち、実際のTOEICでも、素点87点で、415~430くらいのスコアを取ることも可能ということになる。

つまり、リーディングで、とりあえず、400~430くらいまでのスコアを目指しているのであれば、(各回で難易度にばらつきがあるため一概には言えないが)素点87点くらいを目指せばよいと一応は言えよう。

そこで、ようやく本題であるが(汗)、例えば、素点87点を取るためには、別に最後まで解ききることができなくても、例えば、上記自分の例のように、10問を残すことになっても、それまでの90問の誤答数を3問に抑えることができれば、87点とれるのである。つまり、最後まで解ききることができなくても、解ける範囲の問題の正答率を上げれば、スコアアップも可能なのだ。まぁ、当たり前のことだが(笑)、なぜか、TOEICの対策としては、最後まで解ききることばかりが喧伝されており、それも、あらゆるレベルの人を対象にそういうことが言われているようで、最後までたどり着くことにあまり拘らず、解ける範囲の正答率を上げるようにしましょう、といったことは言っている人を見たことがない。そこで、それならば、自分がと、今回、言ってみた次第である(笑)。

なぜ、こんなことを言うかというと、あまりリーディングスコアが高くない段階で、タイムマネージメントを意識しすぎると、その後のスコアアップや、リーディング力そのものの向上に弊害をもたらすのではないかという懸念があるからである。

TOEIC界のカリスマ講師である中村澄子氏は、その著書『できる人のTOEICテスト勉強法』の中で、リーディングセクションの時間配分に関して、次のように書いている。

各パートを時間内に終えるためには「粗く解いて最後まで行く」という概念が重要です。(同書p.54)

つまり、タイムマネージメントするということは、粗く解くということにもなる。中村氏が「この粗く解く」という言葉に、どの程度の意味を含ませているのかはわからないが、一般的には、「粗く解く」とは、少し悪い言葉を使えば、雑に解く、手抜きをする、ということにもなるだろう。

何事についてもそうだと思うが、人間、最初から手を抜くことを憶えると、後から、手を抜かないようにすることは、なかなか難しいのではなかろうか。それに、わざわざ手を抜くことを教えなくても、慣れてくれば、自然と手を抜くものだし、習熟するにつれて、結果に大きな影響を及ぼさない手の抜き方も身につけるであろう。

TOEICの世界では、「XXX点の壁」なんて言葉が存在するようであるが、これも、タイムマネージメント至上主義やTOEIC対策至上主義が作り出した概念なのではなかろうか。というのも、例えば、普通に解くと10問残ってしまう人が、学習量に応じて、最初の90問の正答率が上がれば、その分、スコアは上がるであろうし、更に、学習量に応じて素のリーディングスピード等が向上すれば、自然と解ける問題の数も増えていき、その分でもスコアアップが期待できるからである。

極端な言い方をすれば、タイムマネージメントや問題の解く順番を工夫する等のTOEIC対策というのは、英語力以外のところで、スコアのアップを図るというやり法である。そのため、手軽に短期間でスコアアップが図れることにもなるのだが、当然のことながら、英語力以外のところで、スコアアップできる余地は限られているので、そのうち、英語力が向上しない限り、スコアアップが頭打ちになることになる。通常は、英語力の向上にはそれなりの時間がかかるので、そこから先は、なかなかスコアはアップせず、あたかも壁が存在するかのような状況になる。最初のスコアアップが劇的であればあるほど、その(本来存在しない)壁に苦しめられるということにもなるのである。逆に、多少時間はかかっても、英語力のアップに応じた自然なスコアアップを図るようにすれば、訳のわからない壁なんてものは出現しないのではないかと思うのだ。

例えば、リーディングスコア400くらいが取れるようになるまでは、タイムマネージメントなんて考えず、自然なスコアアップを図るようにし、リーディングスコア400くらいが取れるようになった時点で、タイムマネージメント的な考えを取り入れるようにすれば、その後、900(リーディングスコアで450)の壁も、950(リーディングスコアで475)の壁の出現することなく、950超(リーディングスコアで475超)くらいまでは、比較的順調にスコアアップが図れるのではなかろうか。

まぁ、うがった見方かもしれんが、TOEIC講師の立場から言えば、まず、最初にできるだけ簡単にガーっと、スコアアップを実現させて、生徒の心を鷲掴みにしておいて、その後のスコアの停滞は、「XXX点の壁」なんて言う訳のわからん物を持ち出して、生徒の心をつなぎ止めていくというのが、ビジネス上正解なのかもしれんが(笑)。

また、蛇足であるが、TOEICのリーディング対策というと、空所の前後だけ読むとか、スキミングやらスキャニングやら、できるだけ英文を読まないことばかりが推奨されているが、英文を読む力をつけるには、結局、英文を読むしかないのだから、リーディングスコアで400を超えるまでは、英文を読む練習だと思って、すべてを読みましょう、というTOEIC講師がいても悪くはないと思うのだが。まぁ、それでは、現在のTOEICブームには乗れないのかもしれんが。

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コメント

積読亭さん、こんばんは(*^_^*)

私にとって、すごくタイムリーな記事なので、興味深く読ませていただきました。
先日、公式問題集を解いてみたのですが、予定どおりピッタリ時間内に解き終えることができました。でも、答え合わせをしてみたら、きちんと読まずに答えを選んでしまった問題がいくつかあることに気づきました。あと少しでも時間をとって読めば正解できるはずなのに、もったいないですよね。。。

TOEIC(といってもIP)受験には、あまり気合が入っていなかったみい子ですが、休日に時間を見つけて、また本番のように、問題集を解いてみようと思います。そのときは全問解ききれないとしても、もう少し丁寧に英文を読んでみようかなぁと思いました。
結果をお楽しみに!・・・補足は不要かと思いますが、結果の出せない私のことなので、あまり期待はしないでくださいね(^^;)

本当に勉強になりました~!!このTOEIC講座の受講料は別途お振込みいたします(笑)

投稿: 三毛猫みい子 | 2010年10月12日 (火) 22時50分

三毛猫みい子さん、コメントありがとうございます。

例によって、なんとなくそんな感じがする程度のことしか書いてませんが(笑)、何かの参考になれば幸いです。

TOEICも、英検も、英語の試験であることには変わりはないと思いますので、TOEICでも英文をしっかり読むようにすれば、英検の読解対策にもなるのではないでしょうか。

投稿: 積読亭 | 2010年10月13日 (水) 03時07分

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