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「眥」の画数の謎(解決編)

先日の記事で、「眥」の画数について、漢検漢字辞典は間違っているのでは、と書いたが、どうもそういうことではなさそうである。

というのも、その後に、「嘴」について、手元の辞書を確認してみたところ、これまた、漢検漢字辞典と、他の辞書とでは総画数が違っていたからである。

すなわち、「嘴」は、漢検漢字辞典では、15画(部首内画数12画)となっているが、漢字源及び新漢語林では共に、16画(部首内画数13画)となっている。

更に、同義語である「觜」についても調べてみると、漢検漢字辞典では、12画(部首内画数5画)であるが、漢字源及び新漢語林では共に、13画(部首内画数6画)となっている。

ここまで来るとわかるが、漢検漢字辞典では、どうも、上記漢字を構成する「此」部を5画と数えているようである。すなわち、漢検漢字辞典では、「觜」の部首は「角」としており、部首内画数が5画としていることから、これらの数字が正しいとすると、すくなくとも、「觜」における上部の「此」は5画と数えていることになる。

「眥」及び「嘴」においても、「此」部の画数を5画と数えれば、総画数もそれぞれ、10画及び15画ということでなんの問題もないということになる。

ここまで来て、以前に図書館から借りて読んだ本のことを思い出し、その本を改めて借りてきた。

その本『漢和辞典に訊け!』によると、「政」の左側のパーツ「正」部を、『康煕字典』(清朝の康熙帝の勅命により18世紀初めに編纂された字書)では、4画で数えているというのである。そして、『康煕字典』では、「政」の左側のパーツを、下図(適当にそれっぽく書いた図なので正確ではない)のように、下側の斜めの線が左斜め下にあまり突き出ないように記載しているようである。このことから、「正」でいうところの最後の2画を、「レ」のように1画で書くものとして数えてしまっているらしいというのである。

Photo_3 

この話から類推して、「此」についても、左側のパーツ「止」部を下図のように、「止」でいうところの最後の2画を、「レ」のように1画で書くようにすれば、「此」の画数は5画ということになる。

Photo_6   

そう思って、ネット検索してみると、姓名判断のサイトのページでは、「」の漢字の画数は人名漢字で6画であるが、上記のような書き方をすることで、5画とすることも可能と記載されていた。なお、同ページには、「紫」、「柴」についても同様のことが記載されている。

以上のことから、漢検漢字辞典では、「眥」等に含まれる「」については、上記のような考え方から、5画と数えているように思われる。

そこで、他の「」を含む漢字についても確認してみようと、まず、「」をパーツとして含む漢字を、ATOKの文字パレットを使って調べると、JIS第2水準までで、14個の漢字が見つかった。これらすべてについて漢検漢字辞典を調べてみると、3個の漢字を除いて、残りの11個の漢字については、「」の部分を5画で数えているようである。

具体的には、まず、単体で使われている「」並びに常用漢字の「紫」及び「雌」については、「」部を、漢字源及び新漢語林と同様に、6画と数えている。

一方、残りの「些」、「砦」、「柴」、「髭」、「呰」、「嘴」、「疵」、「眥」、「眦」(「眥」の異体字扱いで画数の明記はなし)、「觜」、「貲」については、「」部を、5画と数えているようである。

ちなみに、漢字源及び新漢語林では、上記すべての漢字ついて、「」部を6画と数えることで一貫している。一方、漢検漢字辞典では、上記のように、漢字によって、数え方を変えているようである。

漢検漢字辞典では、『画数はこの辞典の基準による。』(同7頁)としており、なんらかの基準によって、上記のような数え方をしているのであろう。

しかしながら、そのような基準によって、一部の漢字については「」の部分を5画で数えるのであれば、そのような漢字の字形については、上記姓名判断のサイトのページと同様に、5画で数えられるような字形を採用すべきではなかろうか。現在、採用している字形では、「」部は、いずれも、単体の「」と同じ形となっており、そのような「」部は、どう考えても、6画としてしか数えられないからである。

本来、「」部は5画なのだ、というこだわりを貫き通したいのであれば、字形についてもこだわって、確実に5画と数えられるものを採用してもらいたいものである。「」部を5画と数えながら、字形については、6画としてしか数えられない通常のものをそのまま採用している現在の状況は、こだわり具合が中途半端となっており、利用者に徒に混乱をもたらすだけのものになっていると思われる。特に、漢検漢字辞典は、学習用の辞書と言えるのであろうから、このような中途半端なこだわりは、利用者にとって、百害あって一利なしと言えよう。

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